タグ別アーカイブ: SF

映画『エクス・マキナ』 (かんたん感想)

あらすじ

ケイレブ・スミス(演: ドーナル・グリーソン)は、世界最大手の検索エンジン企業「ブルーブック」で働くプログラマー。ある日彼は社内の抽選に当選し、社長のネイサン(演: オスカー・アイザック)の自宅へと招待される。ヘリコプターに乗り、山奥へと連れて行かれたケイレブは、深い森の中にひっそりとたたずむ現代的な邸宅を見つける。彼は、玄関で機械が発行するキーカードを受け取って中に入り、そして初めてネイサンと対面する。ネイサンはケイレブに、彼が秘密裏に行っているある研究のために協力してほしいと要請するが、そのためには機密保持契約書へのサインが必要だった。
戸惑いながらもサインしたケイレブ。ネイサンは、彼がこの屋敷で人工知能(AI)の研究していると打ち明ける。ケイレブが頼まれたこととは、AIの「チューリング・テスト」――人間が機械と対話し、機械が知能を持っているかどうか判別するテスト――をすることだった。そして、監視カメラを備えた小部屋で、彼は人型のロボット、エヴァ(演: アリシア・ヴィキャンデル)とガラス越しに対面する。エヴァは人間の女性の顔と手足を持つが、それ以外の身体のパーツは機械が剥き出しだった。エヴァは、ネイサン以外ではケイレブが初めて出会う人間だと話す。極めて人間らしく会話をこなすエヴァの能力に、ケイレブは驚嘆する。
その晩、眠れずにいたケイレブが自室のテレビを点けると、なぜかそこにはエヴァのいる部屋の監視カメラ映像が映っていた。じっと観察していると、突然屋敷全体が停電する。電力が復旧するまでの間、彼は一時的に部屋に閉じ込められてしまう。
夜を明かした翌日も同様にケイレブはエヴァとの対談を始める。二者は互いのことをもっとよく知ろうとするが、その途中で再び屋敷が停電する。エヴァは、部屋の監視カメラが機能していないのを見るや、ケイレブに対して「ネイサンは嘘をついている」と警告する――。

レビュー

〈↓ネタバレあり Spoiler Alert!↓〉
・映画『エクス・マキナ』

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2016年2月観た映画2本 『キャロル』、『オデッセイ』(かんたん感想)

今回も遅まきながら感想載せておきます。物語に関わる重大なネタバレは無しです。

『キャロル』

あらすじ

1950年代、ニューヨーク。テレーズ・ベリベット(演: ルーニー・マーラ)は、レストランで男の知り合いに声をかけられる。彼女は、キャロル・エアードという女性(演: ケイト・ブランシェット)と会話中だった。だが、キャロルは席を立ち、去ってしまう。その後、テレーズはキャロルとの思い出を回想する。
テレーズはデパートで働いていた。クリスマスの近づくある日、おもちゃ売り場で電車の模型を見ていたキャロルと目が合う。キャロルは テレーズのレジで模型を購入し、宅配の手続きをする。だが、キャロルは手袋を忘れて帰ってしまった。送り状から住所を知ったテレーズは、その手袋を郵送で届ける。
キャロルは一人娘と暮らしているが、夫と離婚協議中だった。キャロルの家に忘れ物が届くと、キャロルはデパートのテレーズに電話し、お礼にとランチに誘う。遠慮していたが承諾したテレーズはキャロルと再会し、その後何度か交友を重ね、互いの家も訪れるようになる。クリスマスの期間になると、テレーズとキャロルは、それぞれの身の回りの男性達と距離を置き、二人きりで国内旅行に出かけるが――。

レビュー

LGBTをテーマとした映画というか、そもそも恋愛映画自体あまり観たことが無いのですが、今作はそれらの中でも一番印象に残る作品になりました。
何から何まで美しいと思います。映像も音楽も。主演女優2人はもちろんのこと、50年代の地味な色調の風景の中で一際目を引く赤やピンクの帽子など、美術や衣装の面で細部まで素敵です。

観ていて、「距離」が重要な作品だと思いました。テレーズとキャロルの初めての出会いのシーンの、おもちゃ売り場の端と端の間の距離。レジを挟んで話す時に縮まる距離。二人の間の距離は動き続けます。テレーズがカメラを持って遠くからキャロルを撮る時。車で隣同士に座る時。肩に手をかける時。一方で、彼女達の距離の近さを不適切に思うのが、周囲の男性達であったり。かつて、同性があれだけ近い距離にいることに対して、世間が無理解だった時代。テレーズとキャロルは、互いの間の距離にも、社会との距離にも苦悩することになります。
紆余曲折を経た後の、ラストシーンの距離の変化は、初めての出会いのシーンとの対比を感じてはっとしました。
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映画『ハーモニー』 (かんたん感想)

イントロダクション

『屍者の帝国』に続いて、『Project-Itoh』の映画第二弾。原作はもちろん、伊藤計劃が書いた最後の完成された長編『ハーモニー』。
監督は二人体制で、なかむらたかし氏とマイケル・アリアス氏。制作はSTUDIO 4℃

優しさで覆われた世界に嫌気が差している主人公役に沢城みゆき、そんな世界を転覆させようとそそのかすカリスマ的な親友役に、上田麗奈。そしてその二人の間に立つ重要なポジションの少女役には洲崎綾。他にも、榊原良子チョー、『屍者の帝国』から引き続き登場の大塚明夫三木眞一郎など、こちらも実力派ばかり。

日本の公開日は2015年11月13日。

あらすじ

これは、”ETMLバージョン1.2″によって記述される、「わたし」の物語。

近未来のニジェールの砂漠地帯。一面のひまわり畑の端で、世界保健機構(WHO)の「螺旋監察事務局」の上級監察官である霧慧トァン(演: 沢城みゆき)は、トゥアレグ族の一団と接触する。一団の男アサフ(演: 大塚明夫)は、トァンらを「医療の民」と呼び、トァンからナノマシンの医療パッチを受け取る。
かつて世界規模で起きた「大災厄」の後、トァンらの属する医療社会では、人類の健康を至上価値とし、人命を社会の重要リソースとする「生命主義」が掲げられた。そこでは誰もが「WatchMe」と呼ばれるナノマシンを体内に注入して健康を管理し、病気を駆逐していた。酒や煙草などの不健康な嗜好品はご法度とされていたが、生命主義のことを倦んでいるトァンは、平和維持活動という任務の傍らで、医療パッチとの交換でそれを戦場で仕入れていた。トァンが基地に帰還すると、彼女の上司であるオスカー・シュタウフェンベルク(演: 榊原良子)が待ち受けており、トァンが嗜好品を隠し持っていることを咎める。螺旋監察官がそれらを持っていることが公になれば重大な不祥事となるため、シュタウフェンベルクはトァンを謹慎処分とし、日本へ帰国させる。
13年前、日本の女子高生だったトァンは、御冷ミァハ(演: 上田麗奈)というカリスマ的な少女と親友だった。ミァハは、あらゆる人への優しさと思いやりを強要する社会を激しく嫌悪しており、トァンと、もう一人の親友である零下堂キアン(演: 洲崎綾)と共に、自殺を企てる。生きて社会の一員となることを求めてくる世界への抵抗として。しかし、結果的に死亡したのはミァハ一人だけだった。生き残ってしまったトァンは、以来罪悪感を引きずっていた。
嫌々ながら母国へ帰ったトァンは、そこで親友であるキアンと再会する。13年を経て、すっかり健康社会の模範的な一員となってしまった様子のキアンを目にし、トァンは内心で失望する。しかし、昼食の席でキアンは、かつてミァハに持ちかけられた自殺の企てを、親達に告白していたのだと明かす。トァンの自殺が未遂に終わり、ミァハだけを逝かせてしまったことを、キアンは今も悔いていた。トァンは、キアンがある意味では命の恩人であると知る。
だがキアンは突然、「ごめんね、ミァハ」と呟くと、唐突にテーブルナイフを自分の首に突き刺した。その時、健全な世界の各地で、大量の人間が一斉に自殺を図る事件が起きていた――。

〈↓ネタバレあり Spoiler Alert!↓〉
・映画『ハーモニー』
・小説『ハーモニー』
・映画『屍者の帝国』

レビュー

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映画『屍者の帝国』 (かんたん感想)

イントロダクション

フジテレビ系列のアニメ枠「ノイタミナ」の劇場版企画である、「Project-Itoh」なる企画の映画第一弾。原作はもちろん同名の小説。プロローグ部が伊藤計劃の絶筆となり、円城塔が第1章以降を書き継いで完成させ、共作となった本。死後の人間の脳に電極を挿すことによって屍者として蘇らせる、フランケンシュタインの技術が一般化した架空の19世紀が舞台。

アニメ映画版の監督は牧原亮太郎で、制作はWIT STUDIO。また、キャラクター原案はredjuiceで、、他の伊藤計劃作品の映画版でも同様に担当。
主人公となるのはジョン・H・ワトソンで(当然元ネタは「シャーロック・ホームズ」)、声優は細谷佳正。また、ワトソンの記録係の屍者であり、生前には彼と友人だったという設定が映画で加わったフライデー(これまた元ネタは『ロビンソン・クルーソー』)の役には、村瀬歩。その他、筋肉担当のバーナビー役に楠大典、ボンドガール的立ち位置の美女ハダリー役に花澤香菜などを迎えています。

日本での公開は2015年10月2日。

あらすじ

19世紀後半。この世界では、人間の脳にある「霊素」が人間の魂の正体であると考えられ、死後の脳に電気によって疑似霊素を書き込むことにより、死んだ人間を動く「屍者」として復活させていた。屍者は自分の意思を持たず、プログラムに従って単純労働をこなす。今や世界は屍者の労働力無しには成立しないまでになっていた。
ロンドンの医学生のジョン・H・ワトソン(演: 細谷佳正)は、病気で亡くなった友人のフライデー(演: 村瀬歩)を、生前の約束に従って墓から掘り出し、違法に死体を屍者化する。高度な言語処理機能を書き込まれたフライデーに、ワトソンは大量の書物を記憶させるが、ある日彼の前に、大英帝国の諜報機関「ウォルシンガム」の長であるM(演: 大塚明夫)という老人が姿を現す。彼はワトソンの屍者技術への高い関心を買っており、ワトソンの犯罪行為を放免とする代わりに、大英帝国のために働かないかと持ちかける。
ウォルシンガムの目的は、ロシア帝国の屍者技術者、アレクセイ・カラマーゾフが所持しているとされる「ヴィクターの手記」。そこには、かつて世界で最初に屍者化に成功したヴィクター・フランケンシュタイン博士が遺した、まるで生者のように意志を持ち言葉を話せる屍者を生み出す、究極の技術が記されているという。カラマーゾフはその手記を携行してロシア帝国からアフガニスタンの奥地へ逃亡し、ロシア帝国と大英帝国がそれを狙ってグレート・ゲームを始めようとしている。
その手記の内容に強い興味を引かれたワトソンは、Mの勧誘を受け入れる。そして、アフガニスタンとの戦争下にある、英国統治下のインド・ボンベイに、フライデーと共に向かった――。

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映画『チャッピー』を観た (かんたん感想)

イントロダクション

『第9地区』、『エリジウム』に続く、ニール・ブロムカンプ監督のSFアクション映画。今回の主人公は、人間の子供のように全てを一から学習していく、無垢なAIロボット。演じるのはもちろんシャールト・コプリー。舞台ももちろん南アフリカ。

AIの開発者役にデーヴ・パテールと、そのライバル役でヒュー・ジャックマン、彼らの上司役にシガニー・ウィーバーを迎えてます。で、面白いのが、チャッピーをさらうギャング団の役として、ラッパー・グループ”ダイ・アントワード”のワトキン・チューダー・ジョーンズと、ヨーランディ・ヴィッサーが出てることですね。しかも役名も同じで。

ちなみに、日本で公開される際に、映倫の年齢制限を下げるために映像をカットして、それが監督の耳に入っていなかったとかで色々問題になってましたが、今回の記事ではその辺のことは省略します。取り急ぎ感想だけにするので……。
なお、アメリカでの公開は2015年3月6日。日本では5月23日封切りでした。

あらすじ

西暦2016年、南アフリカ・ヨハネスブルグの警察は、増え続ける犯罪に対抗するため、テトラバール社の人工知能を搭載したスカウトロボットを導入する。人間の警官と連携しながら犯罪と闘うロボは、警察から高く評価され、犯罪発生率の減少に貢献した。
ロボの開発者ディオン・ウィルソン(演: デーヴ・パテール)も、その功績を讃えられる。しかし、AIではなく人間の脳波で操作するロボ「ムース」を開発して、ディオンとの競争に負けたヴィンセント・ムーア(演: ヒュー・ジャックマン)は、ディオンのことを妬んでいた。
ある日、ギャングのニンジャ(演: ワトキン・チューダー・ジョーンズ)とヨーランディ(演: ヨーランディ・ヴィッサー)と”アメリカ”(演: ホセ・パブロ・カンティージョ)達は、警察に追われていた。彼らはヒッポ(演: ブランドン・オーレット)に借金していたが、その金を揃えることに失敗。ヒッポに猶予時間を貰おうと交渉していると、その場にスカウトロボを含む警官隊が到着し、銃撃戦となる。ニンジャら3人組とヒッポは逃げ出すが、スカウトロボの22号は修復困難なダメージを負い、廃棄処分が決まる。
そんな中、ディオンの長年の研究がいよいよ完成を迎えていた。それは、人間と全く同じように物事を学習し、「意識」を持つAI。彼はそれをスカウトロボに搭載しようと、上司のミシェル・ブラッドリー(演: シガニー・ウィーバー)にかけ合うが、彼女は現状のロボに満足しており、許可を出さない。諦めきれないディオンは、廃棄されかけの22号のボディと、全ロボのソフトウェアを管理するUSB端末を持ち出し、帰宅しようとする。
しかし、途中で彼はニンジャらに襲撃され、拉致される。ニンジャ達は強盗のために、彼を脅してスカウトロボ達を停止させるつもりだったが、ディオンの車に積まれた22号を見て、それを彼らの味方としてプログラムさせることにする。ディオンは、AIを22号にインストール。その瞬間、22号は「意識」に目覚め、人間を見てひどく怯え始める。まだ言葉も分からないそれは、子供のように教育を必要としていた。ヨーランディは、22号に”チャッピー”(演: シャールト・コプリー)という名前を付ける。ディオンは、自分のロボットがギャングの手に渡ってしまうことを恐れるが、ニンジャ達はチャッピーをギャングスタとして育てることにした――。

〈↓ネタバレあり Spoiler Alert!↓〉
・映画『チャッピー』

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