2017年に見つけて一番嬉しかったアーティストといえば、私の場合、フィービー・ブリジャーズ(Phoebe Bridgers)です。
Twitterのタイムラインを眺めている中でまったくの偶然から彼女の曲を見つけましたが、もうまさに完全に一目惚れというやつでした。
その魅力は言葉で説明するより、もうこのPVを見てもらう方が早いと思います。はい。
天使のようなホワイトブロンドに透き通るようなボーカル、どこかメランコリックでメロウなギター。しばらくこの曲のヘビロテが止まりませんでした。
遅まきながら彼女のことについて調べましたが、LAを拠点に活動、2015年以降にデビューし、2017年9月に1stアルバム『Stranger in the Alps』を発売、という来歴です。今まさに注目されている女性SSWの一人に数えられています。
日本でも先にLPレコード盤は発売されていました。我が家にもレコードプレーヤーがあれば良いんですが、あいにく無いので大人しくiTunesか何かでダウンロードしようかと思ってましたが、待ってるうちにちゃんと日本盤CDも発売されました。
アルバムを通して聴いてみると、個人的にどの曲の音にも親しみやすさや、馴染みやすさを感じる気がします。ライナーノーツにあるようにフィービーの歌詞はとても「私小説的」で、どれもパーソナルなことを歌っていますが、それを心に響かせるだけの音作りがなされています。
iTunesにアルバムを取り込んでみるとジャンルが「Alternative」になっていますが、確かに私もエディターズ(Editors)のような音楽が大好きなので、ギターの使い方とかに馴染みやすさを感じてるのかもしれません。フォーク、カントリー的な曲からポップスまで幅広く聴かせてくれるのが凄いと思います。
1曲目『Smoke Signals』から、ノスタルジックな感情に飲み込まれそうになります。
“You must’ve been looking for me
Sending smoke signals
Pelicans circling
Burning trash out on the beach”(あなたは私を探しているんでしょう
のろしを上げて
ペリカンが旋回する
浜辺でゴミを燃やしながら)
3曲目の『Funeral』は、陰鬱で塞ぎ込むような気分の時、寄り添って落ちるところまで落ちてくれるような曲です。↓の動画のライブ版も素晴らしい。
4曲目『Demi Moore』もメランコリックな気持ちがこみ上げてくるようなナンバー。脆くて繊細な過去の思い出を優しく手で触れるような感覚。
6曲目『Killer』は先にシングル化されています。ダークさに満ちた歌詞をシンプルにピアノメインで歌いあげてます。
個人的にアルバムでも白眉だと思うのが、7曲目『Georgia』。コーラスやドラムの力強さにはっと驚かされるとともに、だんだん胸の奥が熱くなるような感じを覚えます。こちらもライブパフォーマンスがパワフルで圧倒されそうになります。
“If you find me will you know me
Will you take me or will you fall”(私を見つけたら 私のことが分かるかな
私を連れていくの それとも落ちていくの)
9曲目『Would You Rather』は最近になってコナー・オバーストとのPVもアップされてました。
“Come to find out I’m a can on a string
You’re on the end
We found our way out of the
Suicide pact of our family and friends
In the background I’ll be waiting”(私は缶に付いている紐で
あなたは反対端だと気付いた
私達は逃げ出す術を見つけたの
家族と友達との心中の約束から
目立たないで私は待ってる)
このアルバムを一通り聴き終えて、私はフィービー・ブリジャーズのアーティストとしての表現力の、まだほんの片鱗を掴んだだけのような気がしました。これが1stアルバムなので文字通りまだ始まったばかりなのですが、既に彼女のこれからの活動の方に期待が高まるのが止まりません。
どの曲を聴いていても、この人はこれからもっと凄い歌を作ってくれるに違いないという予感がするのです。そして、私は彼女がこの先どんな歌を作ってくれるのかとても気になります。どんなアーティストと組んでどんな歌を歌ってくれるのか気になります。
まだしばらくは現状の活動ペースが続くんだと思いますが、この2017年のうちに本当に彼女の歌に出会えたことが、私にとって一番の幸運でした。(そしてこの記事を2017年終わる前にアップできて良かったです。)
フィービー・ブリジャーズの素敵なホワイトブロンドと透き通るような歌声とメランコリックな曲に完全に虜になった2017年なのでした。 pic.twitter.com/8m7K5UjVWf
— 西本歩浩 (@ayh1r0) 2017年12月21日