必要最小限の単語で話す「ジョン・ウィック話法」を会得しよう

人とのコミュニケーションに何かしら悩みを抱えている方は多いと思います。
話し始めたは良いけどどう終わらせたら良いか分からなかったり。本当は短く済ませられる話をついダラダラと長引かせたり。大事なことを伝えたいのに要点が伝わらなかったり……

そんな悩みに役立つのが、あの伝説の殺し屋ジョン・ウィックさんが創始したと言われる会話法、名付けて「ジョン・ウィック話法」です。必要最小限の言葉を発するだけで、コミュニケーションを成り立たせてしまうというこの話法をマスターすれば、あなたも会話で苦労することは減るはずです。

この記事では、初級から中級、上級まで3つのステップで、この特殊なジョン・ウィック話法を解説していきます。
あなたもこのジョン・ウィック話法を身に着けて、言葉のミニマリストを目指してみましょう。
 
img_0562-1
 

初級編:主語・修飾語の省略

実際のジョン・ウィックさんの話しぶりは下記のような感じです。

ウィンストン「私の記憶では、君は殴る方であって殴られる方ではないはずだが」(Now, as I recall, weren’t you the one tasked to dole out the beatings, not to receive them?)

ジョン『腕が落ちた』(Rusty, I guess.)

ウィンストン「私には分かっているぞ、ジョナサン。まず訊きたい。この世界に本当に戻ったのか?」(I’m familiar with the parlance, Jonathan. I want to ask you this. Have you return to the fold?)

ジョン『立ち寄っただけだ』(Just visiting.)

相手が話してる単語の量と、ジョンさんが返す単語の量の差を見比べれば一目瞭然です。本当に必要なことだけを話すだけで、会話というものは成立するのです。

コツは、とにかく余計な主語や修飾語を省略すること。最低限必要な目的語と述語だけを相手にぶん投げてやるのです。それでほとんどの会話は事足ります。

 

(ジョン、地下金庫の前に来る)

ジョン『開けろ』(Open it.)

牧師「私が脅されて開けるとでも思うのか?」(Do you think you can scare me into opening this gate?)

ジョン『思うとも。開けろ』(Yes, I do. Open it.)

牧師「ヴィゴに殺される……」(Viggo will kill me…)

(ジョン、背後で起き上がった敵を殴り、射殺する。牧師に銃を向ける)

ジョン『で?』(Uh-huh?)

(牧師、しぶしぶ金庫のロックを開ける)

ジョン『君達は出ろ』(Ladies, out.)

(金庫内の女性達、逃げ出す)

ジョン『ごきげんよう』(Have a nice day.)

(ジョン、金庫内の紙幣やファイルを全て床にばらまく)

牧師「金を床にまいてどうするつもりだ?」(Honestly, what do you think you are going to do with all of this?)

ジョン『こうする』(This.)

(ジョン、金の山に火を付けて立ち去る)

サンティーノ「何を使って殺す気だ? あの女のペンか? 老人の杖か? それとも彼の眼鏡か?」(How would you do it, I wonder? That woman’s pen? His cane? Maybe his glasses?)

ジョン『俺の手だ』(My hand.)

サンティーノ「ほう、それは楽しみだ」(Ah. How exciting.)

アンジェロ「ウィック様、こちらはフォーマル用ですか? 社交用ですか?」(Tell me Mr. Wick. Is this a formal event or social affair?)

ジョン『社交用だ』(Social.)

アンジェロ「昼用ですか? 夜用ですか?」(And is this for day or evening?)

ジョン『どちらも一着ずつ欲しい』(I need one for day and one for night.)

アンジェロ「スタイルはどうします?」(And what styles?)

ジョン『イタリアン』(Italian.)

アンジェロ「ボタンはおいくつ?」(How many buttons?)

ジョン『2つ』(Two.)

アンジェロ「ズボンは?」(Trousers?)

ジョン『細身に』(Tapered.)

アンジェロ「裏地はどうしましょう?」(How about the lining?)

ジョン『実戦用で』(Tactical.)

上記のような実例を見ていると、何だか自分にもできそうな気がしてきませんか? そうです、コツさえ分かればそんなに難しいことではないのです。
確かに単語を削っていく度に、あなたの会話から個性が犠牲になっていくかもしれません。それでも、余計な言葉を使ってしまって自分の本意が伝わらなくなるよりはマシでしょう。

興味を持ったら明日からでもすぐ使える。それがジョン・ウィック話法の使いやすさの一つでもあります。以上、初級編でした。

中級編:ジョン・ウィック話法使用者同士の会話

自分だけでなく、相手もジョン・ウィック話法を使ってくる場合はどうなるでしょう。以下の実例を見てみると、ジョン・ウィック話法を駆使する人間達の間では、極めてハイコンテクストなコミュニケーションが生まれることが分かります。

カシアン「ジョンか……?」(John…?)

ジョン『……カシアン』(…Cassian.)

カシアン「仕事か?」(You working?)

ジョン『ああ……、お前も?』(Yeah…, you?)

カシアン「そうだ。……良い夜だったか?」(Yeah… Good night?)

ジョン『……遺憾ながら』(…’fraid so.)

カシアン「それは残念だ」(I’m sorry to hear that.)

(両者、銃を撃つ)

img_0590

(アレス、ジョンの前に立ち塞がる)

ジョン『やり残しは?』(Loose ends?)

アレス(一つだけある)(Just one.)

ジョン『俺か……』(Yeah…)

(撃ち合いが始まる)

ジュリアス「よろしい。では、バーに行って一杯飲むといい。気持ちが落ち着く」(Well, now, may I suggest a visit to the bar, so you can calm yourselves?)

(ジョン、カシアンの方を向く)

ジョン『ジン、だったな?』(Gin, wasn’t it?)

カシアン「そうだ。……バーボン、だろう?」(Yes. …Bourbon, right?)

ジョン『ああ』(Yeah.)

ほとんど単語と単語のドッジボールにしか見えませんが、しかし、共通の文脈によってギリギリ会話が成立しています。この話法にある程度熟達している人でなければ難しいでしょう。
いつの日か相手がジョン・ウィック話法を使ってきた時のためにも、イメージトレーニングをしておいて損は無いかもしれません。

上級編:無言

これはジョン・ウィック話法を極限までマスターした人にしかできない、超高度なコミュニケーション法で、今のところこれを使いこなせるのは、開発者のジョン・ウィックさん本人しかいないそうです。
なんと、もはや言葉すら不要となる領域です。マスターするのは極めて難しいですが、ここまで上達できればどんなあなたは話し合いでも思い通りにできるでしょう。

(ジョン、電話に出る)

ジョン『……』

ヴィゴ「やあ、ジョン。奥さんの話は聞いた。気の毒に。気持ちは察する」(Hello, John. I heard about your wife, and I’m sorry. My condolences.)

ジョン『……』

ヴィゴ「これも、宿命というべきか、あるいはただの不運なのか、我々はまた関わることになったな」(It’s, uh, seems to be fate, or happenstance, or just bad fuckin’ luck caused our paths to cross once again.)

ジョン『……』

ヴィゴ「ジョン?」(John?)

ジョン『……』

ヴィゴ「どうか今回は復讐の本能を抑えて、お互いに紳士らしく解決するため――」(Let us not resort to our baser instincts and handle this like civilized men to move on–)

(ジョン、電話を切る)

(ジョン、電話に出る)

ジョン『……』

サンティーノ「やあ、ジョン。動揺する気持ちは分かる。恨みを受けたように感じられるかもしれない。だが、姉を殺した者に復讐するのは当然だし――」(Hello, John. I understand if you are upset. And I know it might feel personal. But what kind of man would I be if I didn’t avenge my sister’s –)

(ジョン、電話を切る)

サンティーノ「ジョン?」(John?)

※以下の文章は『ジョン・ウィック:チャプター2』のネタバレを含みます。※

(ジョン、サンティーノの前に現れる)

ジョン『……』

サンティーノ「カモの脂身だ。絶品だぞ」(Duck fat. Makes all difference.)

ウィンストン「ジョナサン」(Jonathan.)

ジョン『……』

サンティーノ「ここのメニューは見たか? 実に多彩だ」(Have you seen the menu here, and the other options?)

ウィンストン「ジョナサン、聞いてくれ」(Jonathan, listen to me.)

ジョン『……』

サンティーノ「ここにどれだけ長くいようとも、同じ食事を二度食べることは無い」(A man can stay here a long time and never eat the same meal twice.)

ジョン『……』

ウィンストン「ジョナサン、何もせず、立ち去れ」(Jonathan, just, walk away.)

サンティーノ「そうだ、ジョナサン。立ち去――」(Yeah, Jonathan. Walk aw–)

必要最小限の単語だけで話すジョン・ウィック話法、いかがでしたでしょうか。
自由に使いこなすようになるまでは、もちろん少しの練習は必要です。まずは日常会話の中にさりげなく取り入れるところから始めてみましょう。
今後のあなたのコミュニケーションが、より快適に進むようになることを祈ります。

 
※この記事に書いてあることを実践してどんな損害が発生しても筆者は責任を持ちません。

 
……

ウィンストン「何ということをしたのだ」(What have you done?)

ジョン『終わらせた』(Finished it.)

広告

コメントする

カテゴリー: 良いモノ語り, 良いモノ語り -映画

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中