映画『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』を観た (かんたん感想)

イントロダクション

もう20年近くも続いている人気スパイ・アクションシリーズの5作目。
今回は監督に、『アウトロー』などのクリストファー・マッカリーを迎えて、IMF史上最も困難なミッションを描きます。

主人公イーサン・ハント役のトム・クルーズは、気付けば今年で53歳。にも関わらず、今作でも離陸する輸送機に外からしがみつくわ、激流の中で潜水するわ、バイクスタントをやるわで、相変わらずのエンターテイナーっぷりです。
そして、ヒロイン役には、スウェーデン女優のレベッカ・ファーガソン。敵か味方か分からない、非常に謎めいたキャラで、物語の核心部分にいます。
そして、IMFのチームは今作でも健在。サイモン・ペッグジェレミー・レナーは前作から続投。そして、ヴィング・レイムスも今作で任務に本格復帰します。その他、アレック・ボールドウィンサイモン・マクバーニーも重要な役どころで登場。

公開日は、アメリカでは2015年7月31日、日本では1週間後の8月7日。

あらすじ

ベラルーシ・ミンスクの飛行場で、ある輸送機が離陸しようとしていた。テロ組織が操縦するその機の積荷は生物兵器。IMFのブラント(演: ジェレミー・レナー)は、ベンジー(演: サイモン・ペッグ)に遠隔操作で輸送機をハッキングするよう指示。ルーサー(演: ヴィング・レイムス)の助けを借り、人工衛星を介して輸送機のシステムに侵入するが、離陸態勢は止められない。その時、イーサン・ハント(演: トム・クルーズ)が現れ、輸送機に飛び乗った。彼は離陸した機の後部ドアの外にしがみつき、ドアを開けろとベンジーに叫ぶ。ベンジーはやっとのことで、ドアを解錠し、イーサンは中の積荷のパラシュートを開き、ハッチから脱出。任務に成功した。
イーサンはこのテロ組織の背後に、彼が以前から追っている犯罪組織「シンジケート」の存在があると睨んでいた。ロンドンのIMFの隠れ家で、彼は本部からのメッセージを再生する。しかし、それはシンジケートの用意した罠だった。直後イーサンは密室に閉じ込められ、ガラス越しに一人の男がIMFメンバーを射殺する様を見せられながら、ガスを吸って気を失う。
一方、アメリカの上院議員の委員会では、CIA長官ハンリー(演: アレック・ボールドウィン)が、IMFの過去の危険行動を挙げ、組織を解体することを進言した。ブラントは抗議するが、結果的にIMF解体が承認され、組織はCIAに吸収されてしまう。
イーサンは見知らぬ部屋で拘束されて目覚める。一人の女性(演: レベッカ・ファーガソン)が入ってきて、尋問の用意をするが、彼女はなぜか靴まで脱ぎ始めた。直後、その部屋に男達も入ってくる。イーサンはその中に、死亡したはずのドイツ諜報員ヤニク(演: イェンス・フルテン)がいることに気づく。ヤニクはその女性イルサに、尋問を引き継ぐように言うが、イルサは渋る。すると、イルサはイーサンに、手錠の鍵をこっそり見せた。意図を察したイーサンはヤニクを蹴り飛ばし、イルサから鍵を受け取って拘束を脱する。男達と戦い昏倒させたイーサンは逃げ出すが、イルサは彼と一緒に逃げずそこに残った。
イーサンはブラントに電話し、シンジケートが実在することを警告する。しかし、既にIMFは解体され、おまけにハンリーはイーサンを過去の騒動の責任者として、指名手配していた。イーサンはブラントに、自分は行方不明ということにしておけと頼み、一人でシンジケートの追跡を始めるーー。

〈↓ネタバレあり Spoiler Alert!↓〉
・映画『ミッション:インポッシブル / ローグ・ネイション』

レビュー


 

失われない仕事精神

こんなにも「インポッシブル」な状況を、よく毎作毎作思いつけるなぁ、と思ってしまったものです。
冒頭からいきなり例の輸送機のシーンが始まります。宣伝であれだけ推してた、トムがスタントマン無しで挑んだぶら下がりアクション。
最初からこれを出して、その後どうするかと思えば、イルサと協力して尋問から脱出するシーン。ウィーンのオペラ座で静かな格闘。モロッコに飛べば、酸素ボンベ無しで水中に潜り込みます。気絶から蘇った直後に、カサブランカの狭い路地でカーチェイスをやり、大クラッシュの直後にバイクに乗り換えて高速チェイス。そして、ロンドンではトリックに溢れた首相誘拐と、古典的な銃撃戦、格闘を繰り広げます。

このシリーズの魅力とはIMFのメンバーのチームワークにあると思ってますが、今作でもそこからブレることなく、チームのアクションを見せてます。
このシリーズも5作目になりますが、ここまで基本的な構想を変えずに続いても、マンネリになったり本来の面白さを失ったりしてないというのは、純粋に驚嘆すべきことだと思います。たとえIMFが解体騒動に遭っても、その仕事精神は変わりません。
そして、この映画を作るトム・クルーズの仕事精神も失われてません。ダニエル・クレイグより年上なのに、危険なスタントに嬉々として挑んでいくというストーリーそのものが、このアクション映画を下支えしてます。昔から何かと身体を張ってる人ですが、今作でもそこは変わってません。

『ローグ・ネイション』は、そういう意味でシリーズの伝統を丁寧に守ってると感じました。

さらりと問う存在意義

ただ、いつもと同じことをやっているかに見えて、今回は変則的な展開も取り入れています。
一番それが現れてるのが、序盤のレコード店で秘密メッセージを再生するシーン。「ああ、またいつものシーンね」と思いながら観てたら、まさかの裏切りに遭います。
シリーズお馴染みの要素についての先入観を逆手にとった好例で、その分、今回の敵は一筋縄ではいかないことを予感させます。

シリーズの伝統を守りつつ、同時に今作はその伝統もしっかり問い直したりしてます。
IMFの存在の是非が問われ、解体させられてしまう展開なんかもその一つで、『007/スカイフォール』とほぼ同じテーマです。おそらくあの作品を意識してると思います。スパイ組織の不透明性の問題。やっぱり『M:I』シリーズもそこを避けては通りませんでした。
とはいえ……。正直言うと、イーサンらが組織のバックアップを受けられなくなる展開も、これまでのシリーズで再三あったので、それ自体は新しくはありません。そして、そこに答えるのは、仲間達への信頼とチームプレイです。結局のところ、イーサンとベンジーとブラントとルーサーが集まれば怖いものなしみたいなところがあって。彼らは序盤からどんな状況に陥っても、組織がどうなろうと、同じような調子で不可能を可能にしてしまいます。だから、それ自体は「いつも通り」です。
では、今回のドラマの焦点はどこにあったでしょうか? それはもちろん、イルサです。

イルサはイギリスのエージェントとしてシンジケートに潜入してますが、そのどちらにも良いように使われ、嫌気が差しています。ないがしろにされる個人として、彼女はイーサンらIMFに出会いますが、IMFに寝返って加入するわけでもありません。もうどこであれ組織に所属すること自体に、彼女は幻滅してます。
一方で、イーサンらは組織としてではなく、チームとして彼女と相対します。お互いに組織・国家からはぐれ気味の人間同士ですが、その違いがイルサに何かしら影響を与えてます。祖国を離れても生きていられる、自由な強さ。あるいは、(押し付けがましいニュアンスを伴わない)本来の意味での絆。
彼女の心情の迷いや葛藤に物語の焦点は当たっていて、それがあるからこそ、クライマックスの一気に駆け出すような一連のアクションの直前の決心が光ります。良いですよね、連携プレイ。序盤の尋問部屋のアクションとはどこか性質が違っていて、お互いの考えを分かりあった上で動いてるようです。

たとえ時代が進んでも、イーサンのやることは変わりません。たとえアンチIMF組織が登場しようが何だろうが、彼は持ち前のチームワークでそれを乗り越えてしまいます。ただ、そうなればシリーズとしては同じことの繰り返しに陥っていきます。
だからこそ、今作は、組織の狭間で揺れる、チームでない個人に、新しい物語を見出しています。今の世界で自由に生きることを求める個人を描いてます。
その意味で、物語の真の主人公はイルサです。最後には、国家や組織を持たずに生きる強さを信じて、イーサンの前から颯爽と去ります。イーサンもイルサも、チームとして個人としてこの先も生きていく。
シリーズのスパイ映画に求められる難しい問題にきっちり回答を出しつつ、今までに無いアクションに挑んで綺麗にまとめ上げる。改めてこのシリーズ、好きになりました。

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