イベント告知+小説サンプル

ついに一度も更新の無い月ができてしまいました(5月のこと)……不覚です。月に最低一回は記事を書こうと思ってたんですが。
今現在、「良いモノ語り」カテゴリで、映画『ジェイソン・ボーン』三部作の総論編を鋭意執筆中ですが、あともうちょっとのところで終わりません。
近日中に掲載できたら…と思います。

さて、今回は事後告知事前告知を一つずつ。

まず事後告知。
去る2014年5月5日、東京で開催されていた第十八回文学フリマ
私の所属している名古屋大学文芸サークルが、このイベントのための特別誌『玉響』を販売していましたが、縁あって私もそこに短編小説を一つ寄稿していました。(参考:http://d.hatena.ne.jp/mei-bun/20140420/1397966567
部誌は企画誌で、テーマは「作中での経過時間、三秒」。物語中で経過する時間がたったの三秒間、というルールです。書く側としてはなかなか野心的で難しいテーマで、作品を書いていて非常に苦労させられました……。はい。私の作品は、カップラーメンを題材に書いています。

いやぁ……告知するの忘れてたんです! 私自身は東京に行かなかったのでつい……。すみません。

ちなみに、当ブログへのその作品の掲載は未定です。テーマ誌への書き下ろし作品って、なかなかその冊子での文脈が無いと面白さが分からないところもあったりするので、私の作品だけ切り出してここに載せても……、って感じがします。
まあまた気が変わったらご報告します。

そしてそして、ここからが重要です。事前告知。
2014年6月7日(土)と8日(日)の2日間に渡って、名古屋大学で開催される第55回名大祭で、名古屋大学文芸サークルが部誌『泡』vol.14とvol.15を販売いたします。(参考:http://meidaisai.com/?p=635
今回私は、vol.15の方に『From Beyond』というタイトルの作品を寄稿しております。約15000字の短編です。

販売期間は7日の10:00~18:00、および8日の10:00~16:00。場所は全学教育棟A館のA12教室。販売価格は、vol.14と15の2冊セットで400円です。合計440ページ以上で400円って安い……んじゃないでしょうか。
その他、イベントや冊子の詳しい情報は、サークルのブログの広報ページで紹介されているので、そちらをご参照ください。
……それにしても、3日前にここで告知ってどうなんでしょうね。

では、最後に新作『From Beyond』の冒頭約2200字をサンプルとして掲載します。SF、サスペンスなどの要素を含む小説です。
少しでも興味を持っていただければ幸いです。(なお、この作品全体の当ブログへの掲載は、少なくとも販売終了から3か月後以降にする予定です。)

もちろん、この作品以外にも素晴らしい作品がたくさん集まった冊子となっているので、行ける方はぜひ足を運んでみてください。
それでは。


 その男は、道路脇の交通標識が作る日陰の中で、石の上に腰掛けていた。背丈の低い木がまばらに生えている黄土色の荒れ地の中で、そこは唯一の日陰らしい日陰だった。標識には、緑色の地の上に白い文字で、ツーソンまで五十マイルと書かれている。太陽電池式のライトが標識の上部に備え付けられていて、それらが黄昏時のあと残り少ない日光を吸収していた。
 男の視線は、南の地平線にぴったりと据えられていた。そこから見え始めるアスファルト舗装の道路は、男の側へ伸びてまっすぐ北へと続いていた。男は背をかがめ、両肘をそれぞれ膝の上に乗せたまま、ほとんど石像のように同じ姿勢を保っていた。浅黒い肌に黒い髪を持ち、顎髭を生やしていた。シャツのボタンは上三つを外していて、履いているジーンズは砂埃のせいで少し白くなっていた。右足のスニーカーは底が外れかけていた。
 東の方から風が吹いている。道路の上を、砂煙が撫でるように舞って横に通り過ぎて行った。それ以外に何も動かない。男は右手で背中を掻いた後、背後に置いてある、穴が開いた黒のナイロンのナップザックの中から、あちこちに傷やへこみの付いた金属製の水筒を取り出した。中身の水はもうほとんど残っていなかった。彼は口を開けて水筒を逆さにし、最後の一滴を飲み干してからナップザックにしまった。顔をしかめながらまた南の道路を見た。
 地平線の蜃気楼の中に、一台の車が現れた。日産の型落ちした、自律走行型の黒色のワゴン車だった。その後ろにまだ車がついてくるだろうかと男は思ったが、その一台だけだった。男はその車をじっと睨んだ。強い西日のせいで、車内の様子はよく見えない。ワゴンの低い走行音が耳に届くような距離になったところで、男は長い間座っていた石から腰を上げ、ジーンズを手ではたいた。ナップザックを持ち上げ、同じように砂を払うと、それをかついで道路の舗装の側まで歩いてそこに立った。右腕を伸ばし、親指を立てた。
 ワゴンは速度を維持していて、そのまま通り過ぎるかと思われたが、男より二百メートル手前のところでようやくスピードを落とし始めた。運転席の様子が見えるようになった。白人の男性がいた。彼もまた男を見ていた。ワゴン車は男のすぐ近くまで来ても、完全には停止せずにそのまま徐行で進み続けた。男は腕を下ろして、急いで車についていった。後ろの座席には、銀色のシートにくるまれた何かが、複数のバンドでしっかりと固定してあるようだった。車に乗っているのはドライバー一人だけのようだった。
 男が車内の様子を覗いていると、助手席側のウィンドウが開いたので、男は話しかけた。
「ツーソンまで乗せてくれねぇか」男の英語は、スペイン語のアクセントを隠していなかった。
 運転席にいた、濃いブロンド髪を持った男性は、運転を半手動モードにしたハンドルの上に両手をゆったりと乗せて、運転席側のサイドミラーをたっぷり一秒見た後、男に顔を向けた。
「こんな砂漠の真ん中で何をしているんだい」
「ツレに車を下ろされたんだよ」男は眉間に寄せていた皺を深くして言った。「ケンカになったんだ。んで俺は放り出された。もうここで三時間以上は待ってる。なぁ、いいだろ? もう水がねぇんだ」男はナップザックから水筒を取り出すと、その口を開けて逆さにしてみせた。「ほら。じきに日も暮れちまうし、頼むよ」
「そのツレはどんな人だった?」ドライバーはまたサイドミラーをちらりと見てから訊いた。
「は? ツーソンまで運んでくれるって約束した野郎だよ。それを仕事にしてる奴だ。向こうからこっちへ、人を運ぶ。なのに、この辺りまで来たら、急に金をもっとよこせって言いやがったんだ。話が違ぇって言ったらあいつもキレたんだよ。それで俺は有り金全部巻き上げられちまった。なんでこんなこと訊くんだ?」
「いや、気になったからだよ。僕の前に何台の車にヒッチハイクしようとした?」
「え? たしか……、五台だったか。俺がこのアクセントで訊くだけで、どいつもこいつも避けやがる。ただでさえ車通りが少ねぇってのに。ほんとに、頼むよ。もう腹も減って歩けねぇんだ。夜になったらコヨーテに喰われちまう」
「コヨーテなんていないよ」
「いや、いる。ガラガラヘビもいる。でなきゃサソリだ。頼む、置いてかないでくれよ」
 男はいよいよ切迫した調子で言った。ウィンドウの枠に手を置いた。ドライバーはそれを見ていた。
「金が欲しいんだったら後で払うから、な? 確かに今俺は文無しだ。ツーソンで仕事を見つけて、それからだが、必ず払う。いいだろ?」
「ヒッチハイクなんて危険だよ」ドライバーは静かに言った。
「ここにいる方が危ねぇよ。分かるだろ? なぁ、あんたしかいないんだ……」
 ドライバーの男性は、道路のはるか前方の砂の荒れ地をしばらく見ていた。そして、サイドミラーと、ダッシュボードに映る車後方のモニター映像にそれぞれ視線を向けた。それから、
「ここにいる方が危険、ね」
「ああ」
「金は別にいらないよ。ツーソンまでなら乗せていってやれる」
 男は表情に明るさを取り戻した。
「ほんとかよ。ああ、恩に着るぜ、あんたはヒーローだ――」
「僕はヒーローじゃない」そう言って、ドライバーはまた口元に微笑みを浮かべた。
「いいや、あんたは救い主だ」男も笑った。「助かったよ」
 そして、助手席側のドアのロックが外された。

[※続きは冊子上で]

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カテゴリー: 創作小説, 告知

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