『Blood』レビュー -アルバム『The Back Room』 各論編

さてさて『Editors』の各論の更新です。アルバム『The Back Room』の3曲目から。

ライナーノーツ的解説

“Blood runs through your veins
That’s where our similarity ends
Blood runs through our veins”
 (血が君の血管を流れている
 僕らの共通点はそれまでだ
 血が僕らの血管を流れている)

3曲目にして、それまでのダークさを維持しながらも、ちょっとポップなサウンドの加わった曲が来ます。
(上記の動画でのイントロはアルバム版とは少し違っていますが、)イントロからエレクトロポップっぽい音と、カウベルが面白いです。ギターのクネクネした軟体動物みたいなサウンドも耳を捉えます。

“This wicked city, has dragged you down” 「この不埒な街が、君を堕落させた」
この冒頭の歌詞が、ある意味全てを言い当てています。
退廃した街の退廃した君。Editorsが、このアルバムの製作前にバーミンガムで暮らしていたことが、この曲(も含めたアルバム全体)の着想に影響を与えたことが想像されます。
同時に、”city” はEditorsというバンドのジャンルを決める重要な要素です。彼らは自然ではなく都会(urban)のバンドですから。

「約束を守ることより、難しいことはない」
「正直であっても、信じられることは何もない」
「だから、自分の嘘を包み隠すんだ、また別の嘘で」

と、不義不実を連想させる歌詞が続いています。語り手をこうまで思わせる人間関係とは一体どんなものなのか。

サビの歌詞も面白いです。記事冒頭にも引用しましたが、
「僕らの共通点は血管を血が流れていることだけ」って独特な視点ですよね。息は吸ってないのかよってツッコミたくなりますが。もしかしたら彼らは違う空気を吸っているのかもしれません。
ギターの甲高い音も気持ち良いです。

個人的には最後の歌詞も好きですね。
“If there’s hope in your heart 
It would flow to every part
If there’s hope in your heart”
「もし君の心臓に希望があるなら
あらゆる部分に流れていくだろう
もし君の心臓に希望があるなら」

“Blood”というテーマで上手く締めくくったように感じます。この文脈で”heart”を、よくある歌のように「ハート」と訳してしまうと意味が通らないんですよね。臓器という題材をとることが、この曲のダークな雰囲気にも寄与しています。

この他のEditorsの曲にも、人間の臓器や骨、内部の構造を題にとった曲があります。(“Bones”、”Ear Raw Meat = Blood Drool”)
歌詞を作るトム・スミスの独自の視点が生きていることが読み取れます。人間の内面というか、人間というものを形作るものに興味があるのかもしれませんね。精神的なものと同じくらいに。

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カテゴリー: 良いモノ語り, 良いモノ語り -音楽

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